SV650で九州横断ツーリングに行ってきました(北九州~小石原~杖立~阿蘇ミルクロード~南阿蘇~通潤橋~五家荘~八代)

<SV650で行く長距離ツーリング31>

予定ルート


既に11月下旬。日の出が遅く、日の入りが早くなっているのでどこまで走れるかはわからないけど適当に走っていこう。


11/19(金)

■ 北九州を出発
気が付けば既に11月下旬。今年は秋らしい気候がほとんどないまま秋の終わりが近づいてきて、楽しくツーリング出来る期間はいつの間にか残り僅かとなってしまった。

なので今回、本当は4連休(土曜日~火曜日)にして遠出したいと思っていたのだが、直前の天気予報を見ると日曜日から全国的に天気が崩れる様子。本当に秋運がない。

ただ、土曜日までは快晴のようなので金曜日に休暇を取って走りに行くことにした。このまま紅葉も見れずに秋を感じることがないまま冬を迎えるのはあまりに寂しいのでね。今回は前回行けなかった阿蘇を起点にして熊本県内を走ろうと思う。
今回はソロツーリングなので淡々と出発準備をして日の出間近の6時20分に家を出発。空を見るとまだ暗くて3週間前と比べると更に日の出が遅くなっていることがよくわかる。ただ空は雲がなくて快晴そのもの。今日は楽しいツーリングになりそうだ。
北九州から阿蘇に出るにはいくつかルートがあるが、今回は久々に日田市経由で阿蘇に出てみよう。まずは国道322号で大任(おおとう)町を目指す。
6時50分を過ぎて段々と明るくなってきたが、気温がかなり低くて30分走っただけでも相当身体が冷えてきた。使い捨てカイロを貼っておくべきだった。

(今回は冬用ジャケットにインナーウェアを外した状態にしてきたが、思った以上に冷え込んで既に辛い状態)
小倉南区から田川バイパスに入ると速度が上がってきて、さらに寒くなってきた。3週間前のツーリングも早朝は寒かったが、ここまで辛くはなかった。今回は一応冬用ジャケットに切り替えているがそれでも寒くて我慢の走行が続く。
寒さを堪えながら田川バイパスを降りて県道52号で英彦山(ひこさん)方面へ。空は快晴な分、冷え込みも強い。
県道52号の快走路が続く。いつも阿蘇に出るときは深耶馬渓経由なので随分と長い間この道を走っていない。
県道から国道500号に入る。陽は出てきていると思うが、山の中を走っているので陽がほとんど当たらない。身体が芯まで冷えた状態となっていて、このまま走り続けるのは結構危険な状態だ。
結局、北九州から1時間半、寒さをずっと我慢しながら道の駅「小石原」まで走ってきた。身体は冷えに冷えて限界状態。少し長めに休憩して暖を取ろう。
北九州から嘉麻市(小石原)まで走ってきた。11月も下旬になると早朝はとても寒くて防寒対策は必須!

■ 小石原から日田を経由して・・・
放射冷却のせいか、とにかく寒い。すぐに陽が当たる場所に腰を掛けて休憩する。本当は熱いコーヒーを飲んで身体を一気に温めたいが、道の駅の店はまだ開いておらず、自販機のマズくてヌルい缶コーヒーしかないので、一旦我慢しよう。

(コーヒーは喉から手が出るほど飲みたいが、マズイのは嫌。まだ寒さを我慢したほうがいい)
この道の駅も随分久々に来た気がする。最後に来たのは5年ぐらい前だろうか。案内板に書いている通り、小石原といえば陶器が有名で県内の蕎麦屋では小石原焼きの陶器がよく使われている印象がある。
道の駅「小石原」は北九州から阿蘇に行くときに昔からよく立ち寄っていたが、当時は小石原村だった。今は合併して東峰村となったが、ボクはつい最近まで小石原を嘉麻市と思い込んでいた。今は平成の大合併で聞いたこともない市町村名が多いからね。
20分ほど暖を取った後、再び出発するがすぐに寒くなる。こんなに寒さを感じたツーリングは近年記憶にない。(去年2月の長崎ツーリングでもここまで寒いと感じなかった)

標高が高いせいで寒いのか、歳を取って新陳代謝が低くなって寒さをより感じるようになったのか、どちらにしても寒いことに変わりはなく、朝からずっと苦行を強いられている感じがする。
国道211号で日田市に入って夜明交差点まで出てきた。
陽が上って来た。9時前になって少しだけ寒さが和らいだが、まだ身体は冷え切っていることには変わりがないので伝家の宝刀、コンビニコーヒーで暖を取ろう。

(道の駅で24時間コンビニコーヒーを提供してくれないかね。道の駅だとトイレは綺麗だしベンチはあるし・・・)
前回に続いて恒例のコンビニコーヒー。100円で買える最も価値のある物の一つ。夏の冷たいコーヒーも良かったが、冬の熱いコーヒーのほうが利便性が高い。

コーヒーを飲んでいると隣に停車していたクルマの人が話しかけてきた。排気量や荷物が乗るパニアケースに興味深々だったが、一番気になったのはリアについているカメラ。今やバイクもドライブレコーダーが標準になりつつあるし、ETCやナビも装備しているからね。二輪特有の不便さはあるが、それ以外はクルマと装備差はないと思う。

さて、陽も上って来たし天気は快晴だし、ここからは気持ちよく走れそうだ。
国道210号から国道212号に入って小国町を目指す。
どんどん南下する。9時を過ぎて一気に気温が上がってきたのか寒さもほとんど感じなくなった。
そのうちに杖立温泉街の看板が出てきた。杖立温泉には随分と行っていないが、確か足湯があったと記憶する。(10年以上前) せっかくなので少し寄ってみよう。
杖立(つえたて)温泉へやって来た。ここは昔ながらの雰囲気が残る温泉地だ。
 
■ 杖立温泉で一息
ここには随分久しぶりにやってきた気がする。旅行として温泉に来る場合、どうしても有名な黒川や別府、湯布院などの温泉地に行ってしまうが、有名処は喧騒になりがち。

その点、杖立温泉のような場所は喧騒とは無縁で本当の温泉好きにはこちらのほうが落ち着くと思う。
恒例の南向きの地図。現在地とその周辺の場所がよくわからないが、小国町も見所は多い。

熊本県は杖立や黒川以外にも「わいた」や八代の日奈久、山鹿や菊池温泉もあって、熊本県の温泉数は大分と匹敵するのではないだろうか。
杖立温泉の歴史は古くて1800年も前に遡るらしい。杖を必要としていた湯治客が温泉の効能からか帰るときには杖を立て置いたことが名前の由来とも言われている。4月から5月に掛けてここで鯉のぼりが多数泳ぐのだが、まだやっているらしい。(15年ぐらい前に嫁と見に来たことがある)
山も紅葉で色づいている。赤といっても濃い赤、薄い赤とその色合いの違いが素晴らしく、単色の春の桜とは異なる。
紅葉が見事。今まであまり気にしたことはなかったが、ここまで目を惹くものとは思わなかった。歳を取ると自然の景観美が何よりの目の保養となる。

若い頃は自然などほとんど興味がなかったんだけどね。長く生きれば生きるほど身も心も汚れてきて、自然の癒やしをどこかで求めている気がするよ。
無料の足湯はまだ提供されているようだ。昔はこんなに綺麗な建物ではなかった気がするが、この手の施設が無料で利用できるのは本当に助かる。これで冷えた身体を癒やせるかな。
足湯の施設に入るが、中は誰もいないので貸し切り状態。

湯が出ている近辺はとても熱いので少し離れた場所に足を浸けておく。足を湯に浸けておくと身体から寒さが抜けていくのがよくわかる。このまま走るのを止めてここで夕方まで浸かっていようかな。
足裏のツボなるものがあるみたいだが、湯気が凄くてよく見えない。あー、足が気持ちいい。
鍋ケ滝のポスターだ。鍋ケ滝は小国町だったっけ?随分と行っていないが最後に行ったのは10年以上前。今は有料になったらしい。

鍋ケ滝はテレビCMで有名な場所で普通の滝と違って裏側に回れるのが特徴。(裏に回れる滝の事を裏見の滝というらしい)
二本の足があなたを支えるとは確かにその通り。

人間、歩けなくなると一気に衰えが来てしまうと言われているが、健康であれば歩けるうちに色んな場所に行って色んなものを見て色んな物を食べることが大切だと思う。世の中には障害があってそういったことが出来ない人も大勢いるはず。歩けるだけでその気になれば世界中を巡ることもできる。歩けるというのは貴重な財産と思っていい。人生で健康が一番大切。その次は時間。

人間、歳を取る。金をいくら貯めても、物を沢山持っていてもいつか必ず歩けなくなって食べられなくなる時が来る。経験が一番大切と思っているからそのときまでにボクは多少の仕事を犠牲にしても遊びに行くスタイルを貫くことにしているのだ(笑)

(本当は会社員から脱却したいんだけどね、悲しいかな、能力のなさからそれが出来ずに随分と時間を犠牲にしている)
 
■ 阿蘇ミルクロードを走ろう
杖立温泉を堪能したあとは阿蘇に向かって走っていこう。国道212号で南下する。
10時を過ぎて丁度いい気温になってきた。ようやく走っていて気持ちいいと思えてきた。
阿蘇市に入った途端、景色が開けてくる。阿蘇は毎週遊びに来ても楽しい。
今回は大観峰を素通りしてミルクロードで南下していこう。
阿蘇ミルクロードだ。この道路は外輪山の屋根を通る道路で標高が高い上に周りの景観を遮るものが一切ないのでとにかく景観が凄い。やまなみハイウェイとは違った趣だが、やまなみハイウェイ同様、日本屈指の観光道路といって間違いないだろう。そして今日は雲一つない快晴。とにかく走っていて楽しくて楽しくて・・・。朝の寒くて辛かった走りがここを走ることですべて浄化された気がする。
ミルクロードの途中にある「かぶと岩展望所」に寄ってみよう。右手に見えるのが阿蘇山。阿蘇山は昨日11月18日に警戒レベルが3から2に引き下げられたが、まだ火口には立ち入りできないらしい。
左手に見えるのが大観峰がある外輪山。さっきも書いたが、阿蘇ミルクロードは外輪山の背中を通る道路で遮るものが何もない。阿蘇は何度来ても飽きることがなくて北海道や信州と同じぐらい懐が広い。九州の大体中間位置にあるのも便利で北九州や福岡、鹿児島、長崎、宮崎からも比較的アクセスしやすいので、九州全域のライダーが集まるのも特徴だ。
道の駅「小石原」から「かぶと岩展望所」まで。気温が上がってきたのでとても気持ちよく走れたよ。
■ 南阿蘇から山都町へ
今度は阿蘇ミルクロードから南阿蘇方面に出てみよう。
阿蘇ミルクロードから降りてきたが、国道57号はこんな道路だったっけ?と思いつつ、案内板の通り左折。
乗り始めてすぐに気づいたが、時すでに遅し。このバイパス、最近開通した大津方面行きの自動車専用道路らしい。どんどん南阿蘇から遠くなる。

(この区間は中九州横断道路として熊本市~大分市間を通す為に1994年から計画されているらしく、所々で部分開通しているらしい)
10キロ先の大津東ICから再び車帰ICに戻ってきた(笑) 自動車専用道は便利だが、道を間違えるとUターンが出来ないため、大幅な時間のロスとなってしまう。無料なのが唯一の救い。
先ほどの場所で左折せずに直進した先の国道57号(一般道)に入って県道298号方面との分岐点が出てきた。

ここから先(直進)は熊本地震が発生してから長らく通行止めとなっていたが、今は通行止めが解除されているのでそのまま直進できる。
南阿蘇行きの分岐が出てきた。ここから南阿蘇方面は2016年に地震が発生して以来、長らく通行止めだったが、今年の3月に道路が復旧して通ることができるようになった。
なぜ、復旧に時間がかかったかというと、この橋を造るに時間がかかったから。せっかくなのでこの橋をもう少し遠目から見てみよう。
新しく建設された橋、新阿蘇大橋だ。この橋は2016年に熊本地震によって崩落した阿蘇大橋の架け替えとして建設されたもので南阿蘇と熊本市方面を行き来するのに重要な橋となっている。今年の3月にようやく開通。物流はもちろん、観光の面でもこの橋の役割は非常に大きい。
平日にも関わらず、何故か新阿蘇大橋の展望所には人が多数。特に橋しか見るものがないと思うが、こんなに人がいるのは若干不思議。
南阿蘇の観光マップが掲示されている。グリーンピア南阿蘇や白川水源、あそ望の郷くぎの、など有名処は訪問しているが、まだまだ行ったことがないところも多い。移住でもしない限り、すべてを回るのは無理かな。

将来、阿蘇移住計画を企てているのであながちないわけではない。ただ、費用面の課題が大きくてまだまだ先の話になりそうだが・・・。
何やらお洒落なコーヒー店もあって、ここでコーヒーを飲みながら一息付きたいが、次の目的地の通潤橋まで50キロ以上あるのでコーヒーを飲んでいる時間はなさそうだ。

通潤橋は13時から15分間だけ放水するのでそれを見たい。現在時刻は11時半を過ぎているので時間がない!

※ 地図の直線距離だとここから通潤橋まで20キロだが、南阿蘇経由だと50キロ、県道経由だと42キロで10キロほど短いが、ナビを信じて南阿蘇経由で走ってみよう
新阿蘇大橋を離れて南阿蘇に入る。朝とはうって変わって陽射しが強くなって暑くなってきた。
左折すると阿蘇パノラマラインで阿蘇火口に行けるが、今回はそのまま直進。
所々にある道路工事中による片側走行規制。道路の補修は大変な作業で作業員の方には頭が下がる想いだが、時間が貴重なツーリングではちょっと辛い。特に今回のように急いでいる場合はね。
12時になって通潤橋がある山都町に入ったが通潤橋までまだ30キロあるらしい。ただ、このペースで走ると13時前には余裕で通潤橋に到着できそうだ。(昼食は無理だが)
道の駅「そよ風パーク」を通過。

こんな道の駅があるのは知らなかったが、そよ風パークという名前自体に地域らしさが一切感じられない。日本中、どこにあってもいいような名前
今度は道の駅「清和文楽邑」を通過。ここも10年ぐらい前に一度来たことがある。(ホームページを見ると2010年だった)
そして通潤橋の目の前まで走ってきたが、周りは商店街で本当にこんな場所にあるのだろうか?
あった、あそこだ。クルマは既に満杯で迂回させられているようだがバイク置き場は空いているようでよかった。目の前に見えているのが通潤橋かな?

ちなみに現在時刻は12時35分。新阿蘇大橋から1時間超でここまで来れた。(ほぼノンストップ)
 
■ 重要文化財、通潤橋
通潤橋にやってきた。ここは道の駅「通潤橋」と併用していて土産物店や飲食店もあるので結構便利。観光地の駐車場としては若干狭い気がするが、離れたところにも駐車場があるらしい。

小学生と思われる集団と引率の先生が多数。学校の課外授業だろうか?
通潤橋の放水カレンダー。12月~3月までは凍結の為、放水なし、5月上旬~7月下旬も農繁期の為、放水なし。放水するタイミングは限られていて、しかも基本1日1回、13時から15分間だけなので放水が見れるのは結構貴重だと思う。
通潤橋とソフトクリームは関係ないが、矢部茶というのは初めて聞いた。(元々、通潤橋は旧矢部町だったらしい) 熊本県内では有名なお茶らしい。
ということで恒例のソフトクリーム。放水まで15分あるが、今日は昼御飯を食べる余裕がなさそうなのでソフトクリームで間に合わせよう。

朝は寒すぎてソフトクリームなどとても食べる気にはなれないが、この時間帯だと暑くて冷たい物がちょうどいいよ。
道の駅の端になぜか大型のくまモンが。こんなデカいくまモンは初めて見た。通潤橋とくまモンの関連性は不明。
さて、そろそろ放水の時間が近づいてきたので通潤橋の近くに移動しよう。
平日とは思えないぐらい人が多い。小学生はタブレットのようなものをかざしているが、写真を撮るのだろうか?
13時になって通潤橋から豪快に放水された。実際を見ると水が綺麗なアーチを描いていて素晴らしい。滝と違うのは流れ出るまでの間がドキドキすること。通潤橋はいわゆる水路橋で1854年に建設された国の重要文化財。2016年の熊本地震で亀裂が入る被害を受けて長らく放水できなかった。さらに去年もコロナウイルスによって一次的に放水を取りやめていたから、今回ようやくその雄姿を見ることができて大満足だ。

■ 次は五家荘に行ってみよう
さて、現在時刻は13時半。次の目的地、五家荘方面に向かってみよう。国道218号(国道445号と併用)で宇城方面へ。
14時前だが陽が大分下がっている気がする。日没は3週間前のツーリングより早くなっているのは間違いないので、その点を考慮しておく必要がありそうだ。
途中から右折して国道218号から国道445号(単独区間)へ。
国道445号に入ってすぐに民家の中を突っ切る。五家荘方面の案内が出ているがどこに連れていかれるのかね。
さらに進むと狭隘道路になる。国道ならぬ酷道といった感じだが、この手の道路は随分久々に走る気がする。対向車が来ないか神経を使う。
道路も段々と荒れてきたが、とにかく進む。山の中なのでカーブが続いて上ってカーブが続いての繰り返し。道路が広くて路面状態がよければ楽しいんだけどね。バイクでも狭隘道路は嫌。
狭隘道路を走り続けて頂上と思われる場所に展望台があったので少し立ち寄ってみよう。辺りは閑散としていて誰もいない。
ここは二本杉峠展望所という所らしい。かなり高いところに上って来たと思うが、木が茂っていてあまり景観は望めない。ただ、九州山地の奥深さを感じることはできる。
二本杉峠展望所を過ぎて五家荘に入った。今度は山を下っていくが道が広くて走りやすくなった。ただ、紅葉があまり見えないのが気になる。
二本杉峠展望所から10分ほど走った先にある梅の木轟公園に寄ってみよう。五家荘の1つとして有名な場所だ。
梅の木轟公園吊橋の説明。ここから見える紅葉が有名ということでやってきたが・・・
梅の木轟公園吊橋だ。吊橋というだけあって曲線状になっているがコンクリート橋なのでかなり珍しい。案内板のとおり自然景観を意識したものらしいが、コンクリートで曲線状というのは記憶にない。紅葉の名所と聞いてきたが、紅葉はほとんど見えない。既に落ち葉になった後か。
吊橋を渡った先に滝があるようなのでちょっと行ってみよう。
奥まで歩いて来たが落ち葉が目立つ。紅葉は既に終わってしまったようだが景観はとても素晴らしい。五家荘は九州山地の山ふところ深いため滝や吊橋が多いことも特徴らしいが、ここ、梅の木轟(とどろ)の滝はまさしく秘境という雰囲気。
■ 五家荘をさらに回ろう
続いて樅木(もみぎ)吊橋に行ってみよう。またも狭隘道路になる。
国道445号から左折してさらに山奥へ。
山奥に入っていくが、対向側から観光バスが出てきた。こんな狭い道に観光バスが来るとバイクでもちょっと辛い。樅木吊橋はかなり有名な観光スポットなのだろうか?
対向車も多いが観光バスも多い。これは樅木吊橋はかなり期待できるぞ。
そして山奥の樅木吊橋までやってきたが、クルマもほとんどいない様子。皆が来ていたのはここじゃなかったのだろうか?
とりあえず吊橋を見に行こう。駐車場から吊橋までは歩いて2~3分。梅の木轟吊橋よりこちらの方がまだ若干紅葉が残っている感じだ。
樅木吊橋だ。この橋は先ほどの梅の木轟吊橋を違って木で造られているので歩くと凄く揺れる。
下にも吊橋が見える。この構図は徳島祖谷のかずら橋と似ている。肝心の紅葉だが、こちらも既に落ち葉になったようでほとんど見られない。せっかく五家荘まで来たが、紅葉が見れずに残念だ。
陽がかなり傾いてきた。現在時刻は15時50分。日の入りまであと1時間ぐらいなのでそろそろ宿を探して市街地に移動したいが、ここはかなりの山の中。一番近い市街地は60キロ先の人吉だが、明日は熊本に行きたいので人吉より八代に出たい。八代まで70キロ。ということで八代で目ぼしいホテルを探してタブレットで予約する。よし、これで宿は確保できた。今からひたすら八代に向かえば暗くなるまでには宿に到着できるだろう。
再び来た道を戻る。
1キロほど戻った後、平家の里という案内板が見えた。結構有名処?もしかして観光バスが来ていたのはここだったのだろうか。時間がないが気になるので少し寄ってみよう。
平家の里というところにきた。ここはまだ紅葉が残っている。
中に入るには入場料がいるらしい。せっかくだから入ってみよう。何の予備知識がないまま平家の里にやってきたが、平家の里はそれほど広くはないのですぐに回れるとのこと。
中に入ると藁葺き屋根の家が立ち並ぶ。この手の家に紅葉がよく似合う。
赤の建物と紅葉の色合いと夕陽の色合いが見事!何気なくやってきた場所だったが思った以上の収穫になった。
せっかくなので建物の中に入ってみよう。中は展示場になっていて平家の歴史が記載されている。
平家の里とは源平合戦で敗れた平家が日本各地の僻地に逃げ延びて小さな集落を作った場所の事。いわゆる、落人だが戦国時代の落人は現在の世の中では想像も付かないぐらい悲惨な状況にあったらしく、法の外の者として常に農民から命を狙われていた。当時は法の外の者の命や財産を奪っても何ら罪にならないという考えだったので落ち武者狩りは農民にとって金品を得る恰好の行為であった。

農民は弱者の印象が強いが落ち武者狩りの歴史を調べると事実と相反しているのがよくわかる。戦国時代の敗者がいかに過酷であったか、そして人間というのはいかに残酷なのか、歴史を調べればよくわかる。 今が生活しにくいといっても当時と比べると平和そのものだ。

五家荘を回ってみた。五家荘は八代市にはなっているが実際は八代市街地から遠く離れた場所にあって、道のりの悪さからか九州の秘境中の秘境と感じる。
■ 八代市街地へ急ごう!
本当は平家の歴史をじっくり腰を据えて見たいけど日暮れまでもう時間がない。早く八代市街地に向かおう。(明らかにオーバーペース)
出発し始めてすぐに分岐点が出てきた。ん?さっきはどっちから来たんだっけ?案内板を見ると五木村は左折とある。五木村から八代市街地に行けるはずなので左折する。
左折して先に進むと急に道が悪くなってきた。
路面状態も悪くて悲惨な状態が続く。本日一番の狭隘道路。本当にこの道で合っているのか?不安になるが、とはいえ今更引き返す道はないのでとにかく進んでいこう。
少し展望が開けてきた。現在時刻は16時40分。日の入りまでもう時間がない。早く、早く。
国道445号に出るが道の狭さは相変わらずだ。ただ、先ほどの道より路面状態はマシなので幾分か走りやすい。
やっと片側1車線の道路になり、まともな案内板も出てきた。八代市なのに八代市街地の案内がないのが気になるが、五木村から県道25号で八代市街地に出られるのは事前に調査済み。
片側規制も多い。今日は至る所で片側規制に引っ掛かるが、それだけ道路の補修に手間が掛かるということだろう。通常の整備に加えて災害による補修など想定外の整備も多いだろうからね。

(人口減の将来、こういった作業を人力で延々とやっていたら費用も労力も時間も足りなくなるだろう。こういったものにこそ、最先端のIT技術を投資すべきだと思うけどね)
ようやく八代市街地方面(国道3号)の案内が出た!目の前にあるのは五木村の道の駅だが時間がないので今回はパス。右折して県道25号で八代市街地方面へ。八代市街地まで残り40キロ。
県道25号は想像していたとおり走りやすい。この道だとかなりハイペースで八代市街地に行けそうだ。
17時40分になって段々暗くなってきた。前のクルマに離されないようにペースを上げる。狭隘道路で一人きりではないので暗くなっても気分的にかなりマシ。
真っ暗になる前に国道3号と合流。何とか市街地まで出て来ることができて一安心だ。
八代市街地に入って今日の宿泊先の東横イン新八代駅前に到着。もう、クタクタ。そしてお腹が空いた(笑) 早速チェックインしよう。
フロントでチェックインの受付をしているときにロビーからカレーのいい匂いがしてきた。北海道の東横インでも実施していた恒例の夕食カレーサービス。新八代駅前でも実施しているようだ。しかも無料。

東横イン新八代駅前は周辺に新八代駅しかないので、このあと駅に行って夕食を食べるか、近場のコンビニを利用しようか迷っていたが、カレーサービスがあるならこれを利用しない手はない。限定60食とのことなのでチェックインの手続きをした後、部屋に入る前にカレーを頼もう。
よれよれのバイクジャケットを着たおっさんが腹を空かした顔をしていたせいか、御飯多めにしておきますといってサービスしてくれた。感謝。

カレーを食べると・・・美味い!こんなに美味いカレーを食べたのは近年記憶にないよ(笑) もちろんカレー自体は至って普通の味なんだけど(言い方が悪いが普通に美味しいということ) 腹が減っていると何を食べても美味い。今日は過酷な走りが多くて昼御飯すら食べる余裕がなかったものでね。
その後、部屋に戻って天気予報を見ると当初イマイチだった明後日(日曜日)の天気が晴れ一時曇りに改善した様子。

本当は明日熊本市内を巡ってそのまま北九州に戻る予定だったが、せっかくの天気なので明日もどこか適当に走ってホテルに宿泊することにしよう。嫁に連絡してツーリングの日程を延ばすことを説明しておく。問題はどこを走るか・・・。

明日は天草を回って熊本市内に泊まるというルートはどうだろう。なので熊本市や天草、阿蘇のホテルを探してみたが、明日から4連休が多いせいなのかホテルはどこも空いていない。うーん、困った。やっぱり予定通り明日北九州に帰るルートにしようか悩みつつ、他の空きホテルを調べてみると八代とは反対側の大分県佐伯市のビジネスホテルが空いていたのでとりあえずそこを予約しておく。なんか当初の予定と大きく変わったがボクにとっては想定内。熊本ツーリングの名目を九州横断ツーリングに変更するだけのことだ(笑)
 
走行ルート

今日は朝から寒くてどうなることかと思ったが昼前から気温が上がって気持ちよく走ることができた。天気は雲一つない快晴だったので本当に楽しく走れたが、欲張りなボクは色んなところを見たくて、いつも以上(いつも通り?)にハイペースで走ってしまった。最終的にこの時期としては異例の350キロ以上も走っていて少しびっくり。でも色んなところを巡れたのでよしとしよう。明日は八代とは反対側の佐伯に向かって適当に走ろうと思う。

今日の走行距離:356km

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