母を失って少しずつ心の整理がつきましたのでここに記載したいと思います。

2021年1月24日。母が膵臓癌で永眠しました。

母は私が生まれる際に輸血をしたことが原因だったのか、以前から肝臓はそれほど良くないと聞いていたのですが、2016年に静脈手術をした際の血液検査で自己免疫性肝炎という肝障害が発覚しました。そして医師の判断で2017年2月から入院してステロイド系の薬を飲み始めました。

今まで入院などしたことがない母だったので、突然の出来事に私も驚きを覚えつつ、母に状況を聞くと、医師から聞いたのは自己免疫性肝炎は放っておくと肝硬変や肝臓癌になる可能性もあり、危険な病気ではあるが、ステロイド系の薬を飲み続ければ症状は改善するということ、かつ、天寿を全うできるということだったので、不安な気持ちから安堵な気持ちに切り替わったのを覚えています。

それから母は毎日決められた分量通りの薬を飲み続けました。そしてその甲斐あってか半年もすると肝機能は改善されましたが、その間に耳が聞こえなくなったり、背骨が折れるなどの悪影響も出てきました。

それでも薬を信じて飲み続けてそれらは少しずつ快復していきましたが、2019年5月中頃からか、徐々に背中の痛みを訴えるようになりました。さらに食事も細くなっていき、翌月からは仕事もできなくなる始末。

行きつけの病院に掛かっても原因不明。「初老性うつ病」といった当てずっぽうな病状と診断されたりして、食事が取れないのはそのせいなのかもと思い込みつつも症状はますます酷くなっていき、何度か病院を変えて精密検査をしたところ、2019年7月に何と膵臓癌が発覚。膵臓癌といえば癌の中でも特に厄介なもので生存率が著しく低いことは私も知っていましたが、まさか自分の母親が膵臓癌になるとは。このとき私は衝撃で言葉がでませんでした。

既に予断を許さない状況で余命はそれほどない様子。医師からの余命宣告を聞く勇気はない中、事実に目を背けるわけにもいかず、少しでも病気が改善できるようにと2019年8月から民間療法や化学療法に取り組み始めました。特に隔週の化学療法で受ける身体的な打撃は大きく、体重がさらに減少して、髪の毛もすべて抜け、半分寝たきりの状態になり、このまま膵臓癌でやられるより化学療法でやられてしまうのではないかという悲惨な状況を目の当たりにしつつ、私も半分覚悟を決めていたのですが、本人の強い精神力で何とか踏ん張り、4か月後の2019年12月には当初55ミリもあった腫瘍が何と2ミリまで縮小されるという状態になりました。

その後は食欲も少しずつ戻り、毎日暇つぶしにと肉まんや芝餅を一から作ったり、庭の掃除や花を植えたり、途中から運転できなくなっていた車まで運転できるようになり、このまま膵臓癌が消滅するのではないかと淡い期待を持ちつつ、経過を見ていましたが、2020年10月から症状が悪化し始めたらしく、その後の化学療法も合わなかったのか、症状は悪化の一途を辿り、最期まで苦痛から解放されることはなく今年2021年1月24日に帰らぬ人となりました。69歳でした。

母が常々言っていた「この薬を飲めば天寿を全う出来る」は真実ではありませんでした。

別に薬を勧めた医師を責めるつもりもないし、インターネット上の見解を見る限り自己免疫性肝炎はステロイド系の薬で治すのが定説であることも理解できます。しかし、大きな副作用があるのも実態のようです。膵臓癌になってしまったのはステロイド系の薬が起因している気がしてなりません。

※ インターネット上で「副腎皮質ステロイド 急性膵炎」を検索すると関連性も検出される

世の中、医師の数は限られており、不特定多数の患者1人に割ける時間は僅かです。更に病院も営利団体である以上、治療1つにしても損をするような事は勧めないし、リスクを取るはずはありません。万が一、定説であるステロイド系の薬を勧めずに別の治療法を試して不測の事態になったとき、医師や病院は責任を追及されることになります。ですので、責任を最小限に抑える判断は企業として真っ当な事であると言えます。(そもそも癌になって一番喜ぶのは誰なのか。癌は一大ビジネスという言葉もあながち間違いではなく、病院や医師も患者の病気を治すことが最終目的ではない。医療行為で利益を上げる事が最終目的であり、その過程で病気が治ったら御の字ぐらいにしか考えていないだろう。いや、もしかしたら患者の病気が治ったら困る・・・と思っている病院も少なくないかも知れない。原因不明にしておけば、医療行為で患者がどうなっても責任は取らずに済む上に利益は確実に取れるのだ。世の中、不妊治療や健康診断など責任がなくて高収益な医療が蔓延るのはそういうことで、病気が治ろうが治らまいが他人事なので関心がないというのが本音だろう)

こういった事を汲み取れば、病院や医師の判断がそのまま当事者にとって最善であるかはわからないということが理解できるはずです。特に身体に関係することは個体差があるので副作用のほうが大きく効いてしまう可能性もあるのです。

※ 膵臓癌になったのは結果論であり、過去に戻れたとしてもステロイド系の薬を飲むな、と直ぐには助言はできないだろう。ステロイド系の薬の危険性はある程度は私も調べていたが、無意識に自分の都合の良い方である危険性より有効性に目を向けて調べていたのは事実。先に書いたとおり、病院や医師の本質は当然理解していたが、一方で病院や医師が指示するなら・・・と都合の良い方向に考えていた。当然、ステロイド系の薬が膵臓癌の原因ではない可能性もあるが、耳が聞こえなくなったり背骨が折れた時点で明らかに普通の状態ではなく身体が悲鳴を上げている状態であったと気づくべきであった。

私たちに出来る事は「自分の事であれば他者に委ねるのではなく自分で判断する」ということです。すべてを否定しても始まりませんが、今はインターネットで昔より調べることが容易になりました。現状を加味した上で時間的、費用的な制約の中で自分である程度は調べて自ら決断しないと後悔することになります。医師や病院は先に書いた程度のもので妄信は危険ということ。これを忘れてはいけません。

そして、何を選択しても失敗する可能性はあります。しかし、他者の判断で失敗するか自分の判断で失敗するか、どちらに後悔がないかは明白でしょう。失敗しても誰も責任は取ってくれません。そのことを母に助言できなかったことが私の一番の後悔であり、今後一生、それを背負って生きていくことになるでしょう。

失ったものはもう戻ってはこない。

37年前に離婚をして何の財産もなく女手1つで私を育ててくれて、私が社会人になっても私生活で苦労の連続であった母。そんな母が2014年に念願の一戸建てを手に入れてようやく掴んだ小さな幸せが長く続くなかったのは残念でなりません。膵臓癌が改善したことに油断して2020年10月から年末まで実家の愛媛に一度も帰らなかったのも大きな後悔です。

1994年に18歳で愛媛から福岡へ出てきた私も既に45歳になりました。仕事に没頭した20代、30代はほとんど実家に帰らない生活が続き、母に親孝行らしいことはほとんど出来ませんでした。親孝行したいときに親はなし。親を失った今、親孝行は親の為にするのではなく自分の為にするものなのだと改めて気づかされました。

母は死の直前に言っていました。「世の中、長く生きる事で身体の自由が効かなくなって介護が必要になる方が大勢いる。あなたたちに大きな迷惑を掛けずに逝けると思うと気は楽だ」と。

これから出来る事は残された者が幸せに生きること。これが天国にいる母に出来る唯一の恩返しです。母は私の中で生き続けます。母へ。本当に今までありがとうございました。そして安らかにお眠り下さい。

これからの未来、人工知能によって医療技術が大きく発展することを切に願います。

2021年5月1日 記